“ つばさを振り返る ”

 2011-06-18
多部ちゃんがつばさを演じてから、早くも約2年が過ぎました。

私のバスタイムDVD観賞は『デカワンコ』が終わって、今週からすでに10回以上は観ている『つばさ』になりました。


それは、最近タベリストとしてお仲間になった方がいまレンタルなどで観ていて、感動されているのがキッカケでもありますw


『つばさ』は、放送当時は世間でも賛否両論に分かれ、視聴率も苦戦して、多部ちゃん自身もいろんな意味で大変な経験だったと思います。

たぶん終わった後は精魂尽き果てたとでもいうような感じではなかったかと想像します。


その評価については、私は大好きで、すばらしい作品だと思いますが、好みの問題もありますから、嫌いな方の言い分もわからないことはないです。

ただ、2年が経過して、朝ドラとしてはターニング・ポイントとなるチャレンジングな作品だったことは鮮明になってきました。


それは、ポスト『つばさ』の作品を見てみれば一目瞭然だと思います。

傾向として、『ゲゲゲ』や『おひさま』に代表されるノスタルジックな方向にシフトし、ヒロインも松下さん、井上さん、そして来年の堀北さんとすでに実績のある女優にオファーするという何をおいても視聴率ありきという安全策に走っているということですね。


だから選ばれた女優もオーディションではないですし、そう視聴率に一喜一憂することなく、無難に10ヶ月間専念して、朝ドラ女優というラベルがプラスされるというもたれ合いの構図じゃないかなと私には思えます。

こういう状況が続くと、まるで民放の連ドラでパッとしない人、煮詰まってきている人の駆け込み寺じゃないかとさえ思えてしまいますw


私は朝ドラファンではないですし、どういうコンセプトに方向転換しようと、保守的なのが悪いとか言うつもりはありませんが、私みたいにいつでも新しい刺激的な作品を追いかける人間にとっては、ますます縁がない番組になっていくということですね。

まあ天下のNHKがそれでいいのって思わないことはないですけどねw


こうして見れば、いかに『つばさ』が朝ドラとして異質であり、異質であるからこそ、煮崩れしない多部ちゃんが選ばれ、一部の学識者から高い評価を受けたように期待どおりにやり遂げ、彼女にとってあのタイミングでつばさを演じたことが、ステップアップの順序として、ここしかないというスイートスポットであったかということが、その後の大活躍を見ればわかりますね。


2ちゃんなどで時々、『つばさ』が多部ちゃんの黒歴史というような言い方をする人がいますが、自分が好きじゃなかったからと言って、上っ面のドタバタ劇や低い視聴率で、仮にも多部ちゃんのファンがそのように決めつけるのはどうかなと思います。

硬質なテーマを掲げ、ふり幅の大きなエピソードが散りばめられた作品は、普遍的な輝きで今も色褪せないですし、多部ちゃんの演技や人間的な成長は大きな進化を見せたと思います。


だからこそ、その芝居への前向きな取り組み姿勢と資質が、『農業少女』で松尾さんにオファーされ、画期的な変貌を遂げる舞台につながったわけですし、『農業少女』の百子が『GM』での一皮剥けた桃子となり、そして『デカワンコ』の圧倒的なキレ味の一子につながったということで、グレードアップした多部未華子の土台は、つばさで強固に形づくられたのではないでしょうか。


あれから2年を経過して、間違いなく『つばさ』の存在、位置づけが、多部ちゃんの実績の中で肯定的で高い評価をされるべき時期にきているのではないかと思います。





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“ つばさ考 ” 10

 2009-12-01
≪ つばさの恋 ≫

つばさは10才の頃から、おかんとなって家の仕事をしてきていますから、自分のことよりも、まず玉木家のこと、知秋のことというのが当然になっていますので、ハタチになったからといって自分の恋とか愛とかは考えもしないコですね。

世の中、そんなコがいるのかなって思いはしますが、ひとつの類型としては近い人は結構多いのかなって思います。


それは家にしばられていなくても、萎縮していく経済環境の中で男も女も自分の世界に閉じこもって、その殻を破ろうとしない、自分の世界を出来るだけ守ろうとする。他人に自分の世界に入られて、ジャマされ、キズつくことを嫌うといった人がどんどん増えていってるという感じがするからです。

つばさの場合はそういうのとは違いますが、短大を出ても今までの延長線で心地のよい狭い世界で生きていければ、それで十分みたいな部分は共通性を感じます。


ですから、万里がきっかけで翔太と再会した時も、昔のことを思い起こし、甘酸っぱい記憶とほのかな想いを感じたと思いますが、それだけですね。

もちろん万里が翔太に恋しているってことを分かっているので、自分は置いといても、人のことに尽力したい性分のつばさとしては、自分の感情は抑えるのが自然です。

そういう今の時代では、どうしてと思われるような行動をとるつばさが実にいじらしくて、我々オジさんの心を揺さぶるのは、ドラマのテイストをうまく色づけしていると思います。


最初は消極的なつばさでしたが、翔太の積極的な姿勢や加乃子のプッシュで、だんだん自分の気持ちにウソをつけなくなって、翔太への想いが抑え切れなくなったら、むしろつばさの方が積極的になったのは、女性の強さですね(笑

この辺のプロセスの描き方はジックリと時間をかけ、周りの絡みを巧みに描いており、つばさの逡巡と思いっきりの勢いが実に好ましいです。


だからこそ、翔太が母親に叱られて、まだ自分にはつばさを幸せにする資格はないと、つばさに宮崎に一緒に行くことを断ったときはインパクトがありました。

あの雨に濡れた中での演技は、多部史に残る名演だと思います。

そして大きな心の痛手を負いながらも、やるべきことはイッパイあり、乗り越えていかなければいけないと考えたことによって、つばさは玉木家という狭い世界から解き放たれて、広い空に飛び立たなければいけないということを自覚したのではないかと思います。


それからのつばさは、真瀬からの思いがけない告白や翔太が再び自分の前にあらわれても揺らぐことなく、自分の進むべき道を見つけたように見えます。

それは、誰もがつらい想いをしたときに味わい、心が成長していくことによって強くなっていく姿ですね。

そういう微妙な側面をうまく描いていたと思います。


ドラマの最後は、つばさの心の拠りどころであったラジオの男との別れによってつばさの自立を示唆するとともに、加乃子と竹雄が再び結婚式をあげることによって、おかんの座と千代のあとの女将が加乃子であることが明確になることによって、あとはつばさの恋の行方はということになっています。


私はどうしてもつばさの恋と多部ちゃんの恋を重ねて見てしまうのですが、多部ちゃん自身も、どちらかと言うとそういう面は控えめな人だと想像していますので、紆余曲折を経ながらも、最後は翔太との恋が成就するというのが自然であり、好ましいと思っています。

公式掲示板では、子持ちの真瀬と結ばれることを願っている方も多いようですが、まだハタチのつばさにとっては、ちょっとすぐには考えられないことですね。


多部ちゃん自身は、恋愛に年齢は問わずとは言っていますが、まずは同年代か少し上の人と恋をするのがいいと思います。

いくつかの経験を経ることによって、仕事と恋愛や結婚との兼ね合いはどうなのか、相手に尽くす度合いというのが自分にとってどうなのかなど、大いに悩むのがいいと思います。


この問題は女優にとっては非常に大切なことで、凡人の我々とは違って、女優という仕事をやめないで結婚となるとうまくいかない例も多いですし、自分の人生の中での優先順位はどうなのかなど考えることはイッパイありますね。

そして、決断したら、多部ちゃんのモットー「我、我が道を行く」で、敢然と突き進んでいってほしいと思います。


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“ つばさ考 ” 9

 2009-11-27

≪ つばさのテーマ ≫

『つばさ』のテーマはなんだったのかなって、ずーと考えていますが、多面的、複層的で多岐にわたって描かれたドラマですから単純にこれっていうことは難しいですね。

でも、そんな中でもやはりこれははずせないというのが、


「つながり」と「ゆるし」ではないかなと思います。


人は成長の過程で、かならず親の大きな存在にぶつかることになり、それに依存していくのか、壁になってしまうのか、それをさけて別の道へ進むのか、乗り越えていくのか、さまざまな葛藤があると思います。

それは自我が芽生える10才前後からはじまり、延々と親がいなくなるまで続くものだと思います。

私なども、この年になっても母親と言い合いをすることは絶えませんし、親は子供がいくつになろうと子供のころと変わらぬ意識で、自分の考えを押し付けようとしますから、難儀なことですね。


まあ、しかしこれが生物の宿命だろうと思うわけで、動物であれば、一定のところまで面倒を見て、あとは自然界に放り出すわけですけど、人間の場合はそう簡単ではないですね・・・、いつまでも親ばなれできなかったり、逆に子供ばなれできなかったり・・・、

そういう生きていくことの根底に流れる問題に焦点を当てて、


・千代は加乃子に、自分の不幸を加乃子にも背負わせようとする

・加乃子はつばさに、千代に反発してつばさを飛びたたせようとする

・千代はつばさに、加乃子へのかなわぬ想いをつばさに託そうとする

・加乃子と竹雄は、お互いの暗い過去の暗い闇を理解し合える

・知秋は加乃子に、幼い時の家出のトラウマが消えない


という複雑な親子の関係の中で、肝心のつばさはというと、やさしい性格で誰も憎むことはできず、一貫して家のために尽くそうとする健気な女性として存在して、つばさの奮闘によってからまった糸がほぐれていくというのが、今どきの風潮ではなかなか理解し難いのかもしれないですね。

でも、あえてそういう設定にすることによって、つながることの大切さと、人は誰でもゆるされたい過去を背負っているのだということを分かりやすく描いていると思います。

ここまで人間の負の側面を描くというのは、習慣的に観ている年配の視聴者が多い朝ドラとしては、冒険であったわけですが、今の世相に切り込んで人と人とのつながりの大切さを描くには避けて通ることはできないわけですから、重いテーマであったとは思いますが、意図したことは十分に伝わったと思います。


そして、つばさは玉木家以外についても


・優花は真瀬を父親として認めていない

・真瀬は千波を一人で死なせてしまったことを後悔している

・みちるは真瀬を憎んでいるが、気にもなっている

・斎藤は加乃子と引き裂かれた過去に加えてマリアにも先立たれて傷心している

・浪岡は葛城に茶道の跡継ぎを拒否して家を出て音楽の道に生きようとしている

・麻子はヤクザであった父親を憎んでいる 

・翔太と佐知江は父親を憎んでいる

・伸子は山師の夫と別居し、帰りを待っている

・二郎はベッカム一郎と別れたが、できればよりを戻したいと思っている

・紀菜子は梅吉の実家、玉木家を憎んでいる

・紀菜子と富治は子供ができないことで悩んでいる

・城之内は千代への積年のうらみを持っている


といったさまざまな問題にも関わって、それぞれが犯した過去のあやまちをゆるすことによって浄化する道を模索しています。


もちろんそれ以外にも、玉木家での家業やラジオぽてとでの仕事や翔太との恋もあるわけですから、八面六臂の忙しさ、奮闘になるわけですね。

それが全編に凝縮されていると思います。

そして、いずれの問題も最後はつばさの努力で良い兆しが見えるというのが、気に入らない人もいるかもしれないですが、それが朝ドラですからね。


私も60余年人生を歩んできて、本当に人と人の関係の難しさを感じています。

この年になると、長年の間に培われた価値観というものが誰にもあるわけで、それはもう他人には変えようがないですし、経済条件もずいぶん差が出てきますし、友達つき合いや親戚つき合いも、若い頃のように気軽に出来るものではないですね。

だから、必然的に家族や近所や仕事での付き合いが中心となるわけですが、私の住んでいる街中では、近所付き合いも希薄で、濃いつながりはみんな望まなくなっています。

会社でももう同期なんかはみんな辞めてしまって、周りの人とは上っ面の付き合いがほとんどです。

それは私自身にも原因があると思いますが、本当にそんな風でいいのだろうかって思うこともあります。


そういう世の空気の中で、「つばさ」が重くて、濃くて、熱いテーマを持って描かれたのですから、鬱陶しい、しつこいという嫌悪感を持った人が多くいたことは想像に難くないですね。

でも、それだけ疎まれる存在であったというのは、逆にいまみんなが触れたくない重要な問題を提起したということでもあると思います。

観る人にとって、心地のよい、うす味の、刺激の少ない作品が多い中で、「つばさ」のテーマ、アプローチは画期的であり、そのテーマの深い部分をどれだけ真摯に受け止めることができるのかが、我々に問われているのだと思います。

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“ つばさ考 ” 8

 2009-11-23
≪ つばさの音楽 ≫

つばさの音楽については、三つのストロングポイントがありました。

まずは主題歌、アンジェラ・アキさんの「愛の季節」

私はアンジェラさんは、人間としてはアメリカで苦労もされていてすばらしい方だと思うのですが、歌手としては感情過多な歌い方、ウェットな歌詞で、どちらかというと苦手で、主題歌に抜擢されたと聞いた時あまり期待はしていませんでした。しかし曲を聴いたら『つばさ』にぴったりのいい作品で、彼女を見直しました。


メロディーももちろんいいのですが、詞が『つばさ』の世界とシンクロしていて、制作側からの注文に100点以上のレベルで応えたのは、さすが彼女の実力を見せつけましたね。

そして、秋にやっと出たシングルのヴァージョンがメリハリのあるナイスなアレンジで、この曲に対する意気込みを感じてうれしかったです。

その想い入れどおり売上もまあまあですし、あとは紅白で、多部ちゃんらつばさファミリーの寸劇をバックに歌ってくれたら、こんな幸せなことはないなって期待をしています(笑


二つ目はやはり浪岡正太郎ことROLLYが歌う「あなたが好き」ですね。

これは制作陣としては想定外の創作だったようですが、まさにつばさパワー恐るべしですね(笑

私なんかはスカンチの頃のROLLYの印象が強いですから、この曲を最初に聴いた時はなんからしくないなって感じたのですが、何回も聴いていると、心からつばさのことを想って湧き上がってきたメロディーなんだなあと感じるようになって、特にラジオぽてとの屋上で、浪岡の歌うバックでつばさが踊るシーンは至福の名場面ですね。

ROLLYも見た目はロッカーですが、れっきとした中年の男性ですから、浪岡がつばさに恋したように、多部ちゃんにかなわぬ恋をしていたのだろうなって勝手に思っています(笑

これも、斬新なニューヴァージョンで、是非紅白で熱演してほしいなって思います。


三つ目は言わずとしれたいわゆるBGMですね。

でも従来のBGMという言葉の範疇では収まらないさまざまな楽しい曲、印象的な曲がありました。
特にボーカルも入っているというのがユニークでいいですね。

ただ残念なのが、発売されているサウンドトラックでは、中盤から後半にかけて新たに挿入された曲まで網羅されていないことですね。

まあ、でもそれも『つばさ』らしく臨機応変で自在なストーリー展開によって、次から次に新たな演出にトライする中で、新らしい曲を追加してきたということで、それはそれでやむを得ないですね。

サンバの「ミ・アモーレ」は、何回も聴きたい曲です。

まあ『つばさ』を何回も観ながら楽しむことにしましょう。


こういうBGMというのは、1曲をキチッとまとめあげる必要はないので、いかに話しの流れやつばさの心情に沿うような印象に残るメロディーを書けるかというのが生命線ですから、そういう点でキャッチなメロディーや重々しいメロディーやハチャメチャな曲など、住友さんが全精力を傾注して創られたのが伝わってきますね。

みんないい曲ですが、ストーリーとマッチして特に好きな曲は、

「太陽の街、川越」、「大空に向って」、「夢を信じて」、「Prayer On The Hill」、「Wings Of My Heart」

その他では、

「元気な甘玉堂」、「ファンキータウン川越」、「閉ざされた記憶」、「夕焼けの川越」、「恋の予感」、「つばさを広げて」

といった曲が印象に残ります。


いずれにしても、ストーリー創り、脚本、演出、演技、バックアップ体制、どれをとっても手を抜くことなくパーフェクトなテレビドラマを目指した一端が、演出面の非常に重要な側面である音楽にもあらわれていて『つばさ』のストロングポイントとして大きな成果をあげていると思います。




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“つばさ考 ” 7

 2009-11-19
≪ つばさのタイトルバック ≫

私は「つばさ」のタイトルバックが大好きです。

秀逸だと思います。

多部ちゃんにピッタリだと思います。


あれは、きっと多部ちゃんの持ってる雰囲気とお芝居を見て、スティールでナチュラルな多部ちゃんと川越のなんでもない風景を組み合わせたらきっと印象に残るタイトルバックになるだろうと考えたのではないかと勝手に思っています。

もちろん、「つばさ」そのものがドロドロの人間くさいお話しですから、こぎれいなアニメやイラストでは物足りないということもあったと思います。


しかも、途中で写真を一部入れ替えることによって、つばさの精神的な成長を表現するという心憎い演出をしてくれて、本当にディテールまでこだわりにこだわったのが、こんなところにも端的にあらわれていると思います>ふつうはやりませんよね(笑

そして、さらにはタイトルバック以外にもいい写真がイッパイあるので、朝ドラヒロイン初の写真集まで出してしまうという快挙を成し遂げました。

これには多部ちゃんのファンとしてはまったく感謝のひと言でした。


その写真集は写真のイメージどおりのザラッとしたパステル調の質感がナチュラルな雰囲気をかもし出し、多部未華子の持っている一歩引いた表情、素朴さ、幼さの中にただよう女性ぽさなどが、背景のなにげない風景とシンクロしてアキのこないものとなっています。

私は写真にうといので、専門的なことはまったくわかりませんが、自然光で撮ったような感じ、ピントを外したようなショットをあえて交えたやわらかな印象がいいですね。


背景も街の中や郊外のふつうの場所を切り取っているのが和みます。

印象に残るのは、やっぱり中華料理屋さん、神社の階段、絵馬、廃線路跡などですね。


撮影にあたってはつばさと多部未華子の中間あたりの表情でという注文があったようですが、そんなのは難しいわけで、その時は“多部未華子=つばさ”になっていたのですから、佐内さんにとってはどちらにせよ、満足のいく撮影ではなかったかと思います。


アンジェラ・アキさんのせつない「愛の季節」にのってめくられる1枚1枚のフォトが、つばさという主人公をよく表現していて、いつまでも忘れられないすばらしいタイトルバックになっていると思います。

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