“ 女優多部未華子ここにあり ”

 2010-05-15
WOWOWの『農業少女』、ヨカッタです。

最後のほうは、舞台の時と同じように涙が出るくらい感動しました。


テレビ放映は、舞台とは別物ということはわかっていますので、過剰な期待はしていなかったですし、ダンス・シーンをはじめとして、意図的に露出を押さえていたのは、映像として残るものですから、やむを得ないでしょうね。

作品の本質はそういう部分にはないですから・・・、


我々、多部患いのものにとっては、残念な面もありますが、それは仕方ないと思います。

劇場で観た人は脳内補完してください(笑


それよりも、この放送は舞台を観に行くことが出来なかった、業界も含め、多くの人がその評判を聞いて注目していたわけで、そういう点では、申し分のない創り、編集でしたね。

私も劇場では、百子ウォッチャーに徹していましたので、他の役者の表情とか、えっ!ていうのが多く、わかりやすく、うまく編集してあると思います。


10年前の初演とは別の、個性的でみずみずしくはじけた『農業少女』に生まれ変わっていたことが高く評価をされると思います。


あの、池袋で連日、熱く演じられた多部ちゃんをはじめとする4人の熱演とゆるいお芝居、松尾さんの見事な演出を100分の画の中にうまく閉じ込めることができたと思います。


その中心に、多部ちゃんがいたということがすばらしいわけで、まさに女優多部未華子ここにあり、というのを知らしめたと思います。


前後に入っているインタビューもすばらしいもので、特に素の多部ちゃんをいい角度とアップで魅力的に映してくれていましたね。

自然体の落ち着いた語りもいつもと同じで彼女らしさがよく出ていました。

全員が多部ちゃんをいい意味でヨイショしていて、もうお宝の作品ですね。


多部ちゃんは、WOWOWの担当者をも魅了していたのだというのを感じます。

このところ劇場中継を何本も観ていますが、特に丁寧に創ってくれたと思います。

WOWOWに拍手ですね。


あと、夜の部をメインで使っていましたので、私とDeep Purplinさんがバッチリ映っていました。

ちょっと恥ずかしいですが、記念になります(笑
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“ 『農業少女』 野田版 VS 松尾版 Ⅲ ”

 2010-04-11
最後は、いよいよヒロインの比較です。

これは、大変に難しい作業でした。ですから、もう1回見直しました(笑

というのも、野田版を観てみて、『農業少女』という作品が、百子役の深津さんを想定して書かれたのかなっていうほど、彼女の存在そのものがロリータにピッタリのキュートさと、眩しいばかりの胸の谷間が強調されていて、見た目だけで言ったら、絶対に勝ち目はないなっていう印象だからです。

あの深津さんが、当時27歳とは思えないけど、私が多部ちゃんを好きになるまでは、一番好きだった“ふかっちゃん”ですから、やっぱメッチャかわいい。それと甘え声が自然っていう感じです(笑


多部ちゃんは、松尾さんが言ってたように、いままでのイメージはいい意味でのスクエアな雰囲気の女優ですから、そういう面ではロリータというのは、想像するのが難しかったと思います。

多部ちゃんと同世代で、ロリータっぽいコは何人もいますから、あえて多部ちゃんを選んで、彼女の新たな可能性を見出してくれた松尾さんには、本当に感謝です。


舞台創りをある程度客席から離して、前からも後ろからも見られるというプレッシャーをなくし、客席に向き合って芝居に集中するという環境を整えたのは正解だと思います。

まだ、21歳で人生におけるこ~んな経験やあ~んな経験もしたことのない多部ちゃんですから・・・(笑


その上で、多部ちゃんをどのようなロリータに仕立て上げようかという試みにおいて、谷間は無理ですから、太ももとおパンツのチラリズムで行こうとしたのは自然なことですが、うなじも色っぽくて、全体にすごく良かったと思います。

深津さんの谷間は確かに眩しいのですが、芝居の途中でショールをとってからずーと見せっ放しなので、見えるか見えないかというようなドキドキ感があまりなく、見せてるわりには刺激がないように感じました。


そういう抑揚というか、緩急という点では、セリフのしゃべり方でも、全身を使っての動きや小さなお芝居でも、多部ちゃんの百子のほうが勝っていたと思います。

野田版の舞台創りでは、動きを大きくするといっても左右の動きに限られますので、縦のダイナミックな動きが少なく、抑揚に乏しい感じがしました。その分、役者の大げさな芝居が強調されていましたね。


それと、野田版はとにかく早口で、印象的な百子の博多弁が多部ちゃんの方が強調されてカワイイ感じがします。それと深津さんは、舞台での声が細めの高い声なので、怒る場面、怖い場面なんかでの迫力は、多部ちゃんの野太い声と、スルドイ眼つきが深津さんを凌いでいたと思います。


松尾さんは、硬いイメージの多部ちゃんを魅力的なロリータにするべく、以下に書くような深津さんにはなかったシーン・・・、

クネクネダンスからはじまって、勢いをつけて寝そべるところ、ツバキを浴びるところ、山本の膝に足を乗せるところ、一斉に飛んで場面転換するところ、パンチラして改札を通るところ、「そうでもなくなくな~い」のセリフ、野菜の化粧品の名前を全部完璧に言うところ、ヘリウムボイスで話すところ、「ちちつついたら3千円でっせ~」のセリフ、「シャ~ッ!」も、「うんこ てぇ」も、「チッチッチッ ハァ」も、瞼のパチパチパチも、あひる口もなどといった多くの魅力的なシーンを創ってくれて、お芝居としても盛り上がりましたし、多部ちゃんファンとしても最高のプレゼントだったと思います。


「東京最高じゃん!」のダンスも、初演のラテン調のダンスより、今回のダイナミックな振り付けのほうが、短いですが、圧倒的にインパクトがあります。

稲を黙々と植え続ける場面の多部ちゃんのスローモーションの体の動きも実に美くしくていいですね。

さらに、クライマックス、一番ゾクっと来る場面・・・、人の声が聞こえなくなってしまい、異様な感じで話す場面は多部ちゃんのほうがず~と鬼気迫るもので、良かったと思います。


というようなことで、持ってる素材をそのまま活かし、キュートな小悪魔として見事な演技の深津さんはハマリ役で間違いなくいいですし、素材からは想像できない部分を引き出し、おもいっきりアレンジして、健康的ではちきれんばかりの百子に化けた多部ちゃんの女優魂もすばらしく、この勝負はドローということにさせていただきます(笑


松尾版は、まさに多部ちゃんを活かすことによって、作品を見事に成功に導いたのだと思います。








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“ 『農業少女』 野田版 VS 松尾版 Ⅱ ”

 2010-04-10
2回目は、ヒロインを除く役者に関する演出、演技を比較してみたいと思います。

これについては、ひと言で言うと、初演は野田さんのワンマンショーの色合いが濃いなって感じました。

あのアクの強い野田さんが山本ヤマモトを縦横無尽、やりたい放題に演じますので、それに負けない相手ということで、松尾さんが選ばれ、明星さんがいて、キーとなる百子には、立っているだけでキュートな深津さんが選ばれたという印象を受けました。


で、再演は、って言うと、多部ちゃんを中心としたチームワークでのお芝居という感じです。


とにかく、野田さんと松尾さんはそこにいるだけで、そのオーラ、存在感が半端じゃないです。

しかも、客に挟まれた横に長い舞台を端から端まで活かして、走りまくり、時には客席の真ん中の階段を昇り降りしながら演じるのですから、現場で見る人にとっては最高ですね。


さらにカーテンと照明を活用して、あやしげな雰囲気をかもし出しているところは、松尾版ではやりようがない舞台創りですね。野田さんの様式美を見事に具現化しているっていう感じです。

学生時代に新宿3丁目で観た、唐さんの赤テントなんかにも通じる部分もあったりして、面白かったです。


だから、もう何をやってもOK、噛もうが、トチろうが、関係なし・・・、何をやっても客はそれに乗ろうとする。
その期待感、連帯感というのか、そこが根底から大きく違いますね。

初演を観た人が、今回のにもうひとつ満足出来ないのは仕方ないことだと思います。ある意味、別物ですから・・・、


特に野田さん自身が書き下ろした作品ですから、セリフにしろ、大げさな動きにしろ、好きなようにやっていて、客もそれに酔いしれたいという雰囲気が漂ってきます。

私は個人的には、野田さんのハリのある甲高い声は苦手なんで、あまりに調子にノッて叫びまくるのは気持ち良くはないのですが、野田ファンにとってはたまらないのでしょうね。


松尾版では、ほとんどの場面、4人が舞台の上にいるのですが、野田版は野田さんと深津さんだけが舞台にいることが多いように感じます。セリフは基本一緒なんですが、客を煽るセリフ語りやアドリブが多くて、野田さん演じる山本ヤマモトが、ずいぶん目立つ印象を受けます。

その点、松尾版は吹越さんの都罪のほうが話を引っ張っているような存在感があり、それに山崎さんの山本ヤマモトが抑えたイイ芝居でうまく絡んでいるという印象を受けます。


もちろん、松尾さんの都罪も見事な存在感があるのですが、野田さんのあまりの熱演にどうしても印象が薄くなるという感じがします。


初演を観た方や、野田さんのアクの強さを好まれる方にとっては、松尾版は4人の存在感がほぼ同等で、とにかく多部ちゃんを活かすように演出されているので、物足りない印象を受けるかもしれないですね。


江本さんにも少し触れておきたいと思いますが、存在感は初演の明星さんよりあると思います。

影の女という役割を、おもしろおかしく好演していましたね。


あと、衣装ですが、初演は4人ともがはじめは首にハデめなストールを巻いてフレアがついたドレッシーな雰囲気のカッコウで舞台演出とよくマッチしていて良かったと思います。

松尾版は、百子を引き立てるために、男の衣装は押さ気味ですが、江本さんの衣装がキバツで面白いですね。もちろん、多部ちゃんの衣装がすごくカワイくて目立っていたのが一番良かったと思います。


いずれにしても、松尾版は、あのキャスティングの中で、ベストを尽くすという点では、さすが松尾演出。十分に『農業少女』の世界をおもしろおかしくかつせつなく、見事に描いていたと思いました。

その点は、新聞や専門誌の劇評でも、十分に評価をされていたところだと思います。


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“ 『農業少女』 野田版 VS 松尾版 Ⅰ ”

 2010-04-09
観たいなって思っていた10年前に深津絵里さんが主演した、野田さん演出の『農業少女』を観ました。

ある方に教えていただいて、某K国の某Pテレビの配信で観ることができました。

全編を5分割して投稿されていますが、時々映像が止まりながらもなんとか最後まで観ることができました。

この場を借りて、お礼申し上げます。


観た方の感想はさまざまなようですが、私は大変面白かった。そして、観て良かったということです(笑

それは、野田さんが当時どういう意図であの作品を書いたのだろうとか、野田版に出演した松尾さんだからこその今回の演出の意図、まったく異なる舞台創りによる効果、多部ちゃんと深津さんとの違いなど、すべてが大変興味深く、松尾版のさらなる理解にもつながりました。


どこかのテレビ局じゃないですが、三夜連続で、野田ヴァージョンと松尾ヴァージョンを勝手に比較してみたいと思います。ただし、野田ヴァージョンはまだ1回しか観ていないので、細かい部分まで理解していない面があるかもしれませんので、そこのところは悪しからず・・・、


まずは、舞台創り、演出面について感じたことを書きたいと思います。


舞台創りと展開の仕方については、野田版は、客席が両側から向い合いで、舞台が谷間の底に位置している感じで、舞台と言っても、客席の一番前の人とツラ一で、しかもその距離は役者が数歩歩けば客に触るという客席を巻き込む形のユニークなステージセットですね。

だから、席数も百数十席あるかないかという狭さで、役者は時に客に触れたり、いじったり、客席の階段に上がって芝居をしたり、待機したり、もう舞台と客席が渾然一体となっており、それだけで、迫力があり、インパクトがあります。


場面展開は、天井の二本のレールに掛けてあるシースルーのレースのカーテンを左右に動かし、照明を有効に使うことによって怪しげな雰囲気で、想像力をかき立てるよううまく創ってあります。

そういう点では、松尾さんが言っていたように、同じようなステージングにしてしまうと、異なった演出、見せ方がしにくくなるので、松尾版ではふつうの舞台のスタイルに変えたのは正解だと思います。


舞台創りの部分に限って、どちらが面白いかと言えば、破天荒で、意外性がある初演に軍配があがるのは仕方ないことですね。


でも、再演されなくては、あのスバラシイ多部ちゃんの百子を観ることは出来なかったわけで、松尾版の稽古場のような打ちっぱなしの感じ、動くやぐらをダイナミックに活用した展開やモニターの活用による楽しさなど、かなりイイ線をいっていると思います。


あと、小道具については、野田ヴァージョンでは、電車の時の椅子やケイタイや稲以外のものは、あまり使われていなくて、都罪が載ってる新聞についてもパントマイムによる想像でした。

ですから、舞台創りそのものがそうであるように、役者のセリフの大げさな抑揚と、大げさな動きによって、想像をかき立て、客を巻き込んでいくという側面が一貫して強く出ています。


それに対して、松尾ヴァージョンは、初演とは違って舞台と正対している客をどのようにして巻き込むかということのために、いろんなアイディアを出して、宇宙人やら手品やら小物やらヘリウムガスやらいろんな工夫をしていて、その点は健闘していたと思います。


ということで、舞台創りや演出に伴う小物使いなどについて考えてみましたが、舞台創りに関しては初演、小物がらみの演出については再演が好きだなというのが結論です。


明日は、役者について書く予定です。





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“ 声がじつに魅力的 ”

 2010-03-27
またroute225さんが紹介してくれた演劇専門誌2冊を読みました。

「BEST STAGE」は、写真とあらすじだけだったので、立ち見で終り。

「LOOK at STAR!」は、レポートが書いてあったので、購入しました。

写真は7点ほど、両紙とも同じものです。


では、レポートの内容を、


= 野田秀樹、松尾スズキという二大巨頭の贅沢なコラボレーションは、初演よりも笑いを増幅、ちょっとマジカルな21世紀版の“新”『農業少女』になっていた =


「'00年初演の20世紀最後の野田秀樹作品を、初演時はキャストとして参加していた松尾スズキが演出。

言葉遊びを含めた野田色がセリフの端々に現れるたびに、脚本にはないちょっとしたセリフや小ネタでスッとスカされるのが松尾色と言えそう。

木材によるラフな舞台装置、新聞紙で作った小道具を駆使し、場面転換時にはキャストがその小道具を舞台袖に投げ付けるのも何だか、“野田作品というオモチャで無邪気に遊ぶ松尾演出”という印象だ。

野田本人が映像で出現し、しっかり笑いをさそうところは、まるでそれが“作家のお墨付き”の証拠のようでもある。


4人芝居の顔合わせの妙もこの舞台の面白さのひとつ。役柄が変わるたびに変幻自在にいくつものキャラクターを演じ分ける技巧派・吹越満と、少女への叶わぬ想いを募らせる中年男の切なさと狂気を同時に感じさせてくれる演技派・山崎一。

さらに、ヒロインとは見事なほどに真逆のキャラクターをパワフルに演じた江本純子。


そして何といってもチャーミングだったのが初舞台の多部未華子だ。

江本ら個性的な実力派役者陣のなかで、瑞々しい存在感を放っていた。

清純そうでいて小悪魔的でもある少女のギャップを表現し、声がじつに魅力的。ダンスシーンでチラリと見せる身体のキレからも、彼女の舞台女優としての今後の可能性を強く感じた。」


ということで、専門誌だから、あまり批判的なことは書かないのだろうと思いますが、多部ちゃんに関しては、的確に評価しているんじゃないかなって感じですね。


あと、ペラペラめくっていたら宅間さんの連載があり、7月にやる『くちづけ』という新作の話しが書いてあり、主演を金田明夫さんに頼んだら快く引き受けていただけたということと、その後、多部ちゃんたちと食事をしていて、オーディションで選んだカワイイ女優が、多部ちゃんより一つ上ぐらいで同じ地域のコだって言ったら、多部ちゃんが「芳賀優里亜ちゃん?」って即答したということが書いてありました。

多部ちゃんは中学の頃に、すでに芸能界で仕事をしていた芳賀さんに「どうしたら芸能界に入れるのですか?」っていうような質問をしていたそうです・・・、それがいまや『農業少女』の主演女優と、片やカフェでバイトをしながらだそうです。

人生ままならないものですね。


で、演劇専門誌というものをはじめて買いましたが、その華やかなこと、タッキー、相葉、堂本、藤原、勝地、内、松、などなど、まるで芸能誌ですね。

それと、東京で公演されるお芝居の数たるやスゴイスゴイ!

こんなにやってて客入るの、採算とれるの、って思っちゃいます。

いままで、まったく関心がなかったので、ビックリです。

こりゃあ、お芝居と言っても甘くないわ・・・。


お芝居の魔力に取り付かれた東京の方で、早速他の方の舞台を観に行った方もいるようですが、私はいままでほとんど観なかったWOWOWの舞台中継というものを観ました。

野田さんの『キル』と、ケラさんの『東京月光魔曲』です。

いずれも、妻夫木さん、瑛太さんという旬の人気俳優を使っているのですね。

舞台がマイナーなイメージだった頃とは様変わりしている感じです。


いままでよりも前向きな姿勢で観た分、どちらもそれなりに楽しめました。

特に、上記の二人はがんばっていましたね。大変だったと思いますが、さすがという感じです。


ただ、舞台中継っていうのは編集の仕方次第でだいぶ印象が変わるんだろうなって感じました。

『農業少女』に関しては、多部ちゃんのアップを多用していただくのを最優先でお願いしたいと思います(笑

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